• Tree River

Tree River

鶴見 健太によるソロプロジェクト”tree river” そのアルバム「over there」は、極上のアンビエンスを独自の解釈で表現、見事に美しい世界観を創り上げたデビュー作!PROGRESSIVE FOrMの新作は、岐阜をベースに活動を続ける新鋭、鶴見 健太によるソロ・プロジェクト”tree river”の1stアルバムである。 さて本作に寄せる原稿をしたためるにあたり、少々話しはそれるが昨今感じていたことを最初に加えることとしよう。 それは世間一般でエレクトロニカと称される音源群、またそれらを取り巻くエレクトロニック・ミュージックにおける環境全般についての印象なのだが、90年代後半より徐々に培われ、2000年頃より本格的な盛り上がりを見せていたそれら音楽環境が特に2005年辺り以降であろうか、それまでの勢いを潜めてしまった印象があった。それは例えば、ラップトップを中心に構成されたライブイベント全般の数にも顕著に現われていたことを覚えている。その経緯の一端として感じられることとして、そもそもそれら音楽環境は相呼応するように発展と盛り上がりを見せていた音楽制作の環境、つまりはベースとなるコンピューターの性能向上と、ソフトウェアの広がりと進歩に深い関連性があったことは事実の一端ではあるだろうし、だからこそ生まれてきた新鮮な音であったかもしれない。ただ同時に、それは時として本来あるべき音楽としての追求という本筋から逸れ、やもすれば音と制作環境に焦点が充てられ、音楽はそれに付随するものといった、本意ではなかったにせよ結果として矛盾をはらんだ空気感を形成するに至った土壌を生んでしまったのかもしれないし、それが故にエレクトロニカと称される音源群の広がりが止まったのかもしれない。 が、しかし、特にここ1~2年であろうか、それは本来あるべき音楽としての追求を取り戻してきた印象を覚えている。実際には「取り戻した」というより、脈々と引き継がれてきたそれら音楽環境が「形を替え次のステップに向かわんとしている」といった表現の方が適切であろうか。その一因として、これら音楽環境における特に生楽器、また肉声の比重が、以前のそれと比べると格段に広がったことにも起因しているのかもしれない。当たり前かもしれないが故に、音楽の持つ従来の奥深さや広がりといった要素を追求するに至ったのだと思う。また同時に、それまで参加してきたプレイヤーに加え、現在20歳台前半の若手クリエイターの台頭(という程ではないのかもしれないが)も目に付くようになってきた。言わば彼らの新しい才能が、これら音楽環境における次なる道しるべを切り開いているのかもしれない。 さて本作の印象に戻ろう。 作者は現在まだ若干23歳の若手であり、制作時期は22歳。「なのにこの質感の良さと力強さは何だろう」とアルバム1曲目「fragment」の最初の音を聴いた際に覚えた感覚を今でも鮮明に覚えている。あくまでエレクトロニックな印象の時間軸が流れつつも、ギターとラップトップを中心に構成された本作は、荒々しくも、アルバムを通し一環して感じられるバランスの良さとモチーフ作りの上手さがベースとなり生み出され、作者の高いソングライティング能力の可能性を感じさせる。「是非、より多くの人にこの新しい才能を確かめて欲しい」という気持ちで、ここに本作がPFCD17として完成した。 ゆっくりと流れるその美しい音世界を是非聴いて欲しいと思います。(芽瑠璃堂より抜粋)

http://www.myspace.com/treeriver0001